【日和Side】



朝7時。






「……いってくる」





そう、玄関から声がした。


ただ、私はそれに答えない。





「……チッ、いつも通り無視かよ」



荒々しい舌打ちと共に玄関が乱暴に閉められた音がした。





「いってらっしゃい、透真」



私は、双子の弟である透真が家を出たあとに呟いた。






私はまだ眠い。


けれど返事しない私に、毎回「いってきます」と声をかけてくれる反抗期な弟のその言葉を聞くために起きている。




透真は、反抗期というか、“ヤンチャ”をしている。



私と透真は同じ学校なのだけれど、透真はその学校を支配しているといっても過言ではない、暴走族『陽炎』に所属している。



なんでも結構上の立ち位置にいるとか。







朝はやく出ていくのもそれ関係なんだとおもう。







透真は暴走族のヤンキーだけど、本当にいい子なのだ。



必ず家に帰ってくるし、さっきみたいにいってきます、って言ってくれる。







……それに、私が答えられないだけ。