ケータイ小説 野いちご

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【完】キミさえいれば、何もいらない。

*キミのこと以外考えられない【side 彼方】

こういうのを、一目惚れって言うんだろうか――。


雪菜が俺のことをかばってくれたあの時のこと。思い出すと、今でもドキドキする。


彼女は勘違いで他校のいかつい男に殴られる羽目になった俺のことを、話したこともない俺のことを、助けてくれた。


確かに俺が殴られたのは、彼女の兄貴のせいではあったけれど、別に放っておくことだってできたはずなのに。


『この人は関係ないです。殴るならうちの兄を殴ってください』


男に向かってハッキリとそう言い放った彼女は、凛としていて、とてもカッコよく見えた。


だけど、その声は少し震えていて、よく見ると彼女の足も小さく震えていた。


それに気が付いた時、本当は怖いのに、俺のために勇気を出して行動してくれたんだってわかって、感激した。


さらに彼女は怪我をした俺にハンカチまで貸してくれて。


きっと、困っている人を放っておけない、すごく思いやりのある子なんだろう。


俺が話しかけても彼女はニコリともしてくれなかったけれど、その優しさと勇気に、俺はものすごく心を揺さぶられた。


あの瞬間、俺の中で何かがはじけた。


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