「別れようぜ」


ガーーーーーン!!


ガシャン!


あまりのショックに、テーブル上のアイスティーをひっくり返してしまった。


「ご、ごめんなさい!いま拭きます!」


ウエイトレスさんに謝って、慌てておしぼりで拭く。


割れなくってよかったぁ。

中身もほとんど氷しか入ってなかったから、


「ほとんど濡れなかったし、よかったね?」


…って視線を上げると、さっきまで目の前でコーヒーを飲んでいた、彼氏だった人がいない。


「…あ、あれ?」


慌てて視線を窓の外に向けてみれば、

すでに2つ先の交差点を渡っているところで、目が合った。

“じゃっ!”

ってな感じで、手を顔のあたりまで上げると、一目散に走り去る。


――え、ぇえええ~っ!?


仮にも彼女だったコを置き去りにした上に、


「走って逃げるって、どおよっ!?」


今度の彼は同じ高校生じゃなくて大学生だし、包容力もありそうだから、

大丈夫…!

って、思ってたのに!


霧里花美(きりさとはなび)

16歳(高校1年生)。


生まれてこのかた、振られた回数は二桁の大台をはるか超え、

21回と絶賛更新中だったりするんです。