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大好きな彼は超能天気ボーイ

私の彼氏は、超能天気ボーイ

7月31日。
この日は、私のお父さんがこの家を出て行った日。


兄さんは今日も女の人を引き連れて、デートに出かける。

最近女遊びが激しいような。


お母さんは、相変わらず仕事で慌ただしくする。


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あの日。

目の前に置かれた離婚届。
玄関元に集められた段ボールと、引越し業者のトラック。



私はその様子をただずっと見ていた…


「じゃあ、そろそろ出て行くよ。」

お父さんはそう、重く話す。


「全部…あなたが悪いんです。
早く……早く出て行って!!」



声を荒げたお母さん。
そして近くにあった服を投げつける。


ひどく睨みつけたその目は、泣き腫らして赤くなっている。


功の後ろで、その様子をただ呆然と眺めている私。



兄さんはお母さんの肩をさすって、落ち着ける。



「お父さん…」

ふらふらとした足取りで、お父さんの元へ行く。

今まで家族だった人が。
今まで食卓を囲んでいた人が…

いくら酷いことをしたとしても、一度は大好きだった人が。

当たり前のように笑いあっていた家族が。

これから会えなくなる。

そんな現実を受け入れることもできなかった。

「梨乃…すまなかった。本当に、本当に。」

そう言って私を一度抱きしめ、


「じゃあ…出て行くよ。
花をよろしく頼むよ海斗。
それに…功くん。梨乃をよろしく。」



そう言い終えた瞬間、またお母さんが暴れだす。

「私の名前を軽々しく呼ぶな!
早く!二度と姿を現わすな!私たちの前から…前から!早く消えろ!」



そして兄さんが慌ててお母さんを抑えるんだ。

「お、お母さん?」


ひどく形相を変えたお母さんの顔は、今でも鮮明に思い出せる。

もしかしたら、この時からヒステリックは始まっていたのかもしれない。


そしてガタンっと閉ざされた重いドア…

本当に…出て行ってしまったんだ。


涙は、出なかった。
でも、複雑だった。










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