帳 梨乃side

私には、ちょっと困った後輩ちゃんがいた。
その子は、そりゃもう功にぞっこんで……。


菜乃花ちゃんって言うんだけどね、
とっても美人さんなんだ。


だから余計、警戒してしまうのもある。


菜乃花ちゃんはバスケ部のマネージャーとして、いつも一緒に活動している。


そしてついこの間。

「私、帳さんから功先輩を奪いますから!」


宣言をされてしまったんですよ。全く。



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部活。

後少しで私たちも引退。

よし、功にドリンク渡してこよう!

そう思って歩きだすんだけど……


「功センパーイ!ドリンクです!」


くっ!菜乃花ちゃんに先を越されたり……


「ナノ特製なんですよ〜!」


「そうなんだ。ありがとな。」


なんて、功も笑顔で答えている。
こっちが……ヤキモチしてることも知らずに。


菜乃花ちゃんの頭から、ハート出てるもん!

しかも、
功も菜乃花ちゃんに
すっごい優しそうな顔するんだよ?



「梨乃!おーい!」


「へっ…はっ?」

早苗が耳元でわっと叫んだ。
み、耳が……

「大丈夫?心ここにあらずだけど?」


「え?そ、そう?」


「もしかして、菜乃花ちゃんの事?
あの子も健気だよねー!」


早苗まで…そんなにあの子を褒めないでよ…
た、確かに…健気だけどさ。


「早苗…私自信ないよ。
本当に奪われちゃうかも、功。」



「まさか……そんな事ないでしょ?」


「だと良いけど。」


二人に目をやれば、やっぱり楽しそうで…


なんかさ、二人だけの世界みたいに、見えちゃうんだ。


心配性に迫真がかかってる。
本当に。不安なんだからね?功のバカ。