「新入生挨拶。

新入生代表、桐生若菜。」



式典のアナウンスが流れ、返事をして、壇上に向かって歩く。



厳粛な空気の中、同級生のヒソヒソ声が、嫌でも耳に入ってくる。



「入学初日にメイクしてるから、ウチらの仲間って思ってたのに…引くんだけど?」



「奴は、名門進学校受けたくらいだから…ね。」



同じ中学だったコも、ヒソヒソ話に参加してた。



コラ、元クラスメート!余計なコト言わないでよ。



学校帰りにシェーキ片手に友達と恋バナしたり、合コンしたりして過ごしたいんだから、周りから浮きたくないんだって!!



あー、なんか気が重いんだけど…。



教師たちが固まって座ってる方に向かって、軽くお辞儀する。



顔を上げると、一番後ろに座っていたアオイが軽く手を挙げた。



こんな時に、何やってんのよ…。



だけど、ほんの少しココロが軽くなった…気がした。



アオイの隣には、サカシタがいた。



仲、良いのかな?



イケメンのアオイとお喋りしたくても、サカシタが隣にいたら近寄れないな…。



なんとなくだけど、サカシタは…危険。



そう、思った。