ヒロインは控えめないい子で天然で鈍感な人が多い。
それで必ず出てくるのは、ライバルの悪女っていうやつ。



そういう恋愛が多いのが私なわけ。
私は新崎 ミコト。黒髪のポニーテールで普通にかわいい方だと思う。どちらかというと、自己主張激しめで少し切り目でとっても負けず嫌い。それのせいか、恋のライバルにはあの手この手で勝ち取ろうってしてしまう。それで、いつも恋には敗れちゃうの。

っていうか、私ヒロインに多い天然とか鈍感とか控えめで自分の意見いえない人大嫌いなのっ!!だから、たまーにだよ?意地悪しちゃう。
イケメンくんたちはその気持ちわかってくれないもん。



4月。道端に小さなたんぽぽがかわいく懸命に咲く季節。
私は期待と不安な気持ちを抱えたまま輝かしい校門の前に立っている。

私は友だち作りには自信がある。だから!たくさん友だち作るぞ…
「ドンッッ!」
いきなり背後から何かがぶつかってきてさすがにビックリした!
「痛いんだけど!!」
「あ、ごめん。」
髪めっちゃ茶髪。瞳もキレー。

って見とれてる場合じゃない!今のなんなのっ!!自分からぶつかってきて、それで謝ってすぐ行くー??私、コケてるのわかんないの?差し伸べる手くらいないわけー?イケメンなら許すけど、チャラ系苦手だし。
もぉー朝から最悪。
あいつなんて、気にせずに切り替えよう。ここの学校はマンモス校だから、もう会わずにすむはず!!
私はさっきの出来事を忘れて、気持ちをまた新たに1の2の教室までドキドキしながら行った。

恐る恐るドアを開けると、すでにみんなは席について緊張したような雰囲気が伝わってくる。
私の席はー、うわぁーーー。一番前の窓側。私が一番嫌な席。ホント朝から最悪だー。

私が席につくと、横も後ろも男子だから斜め後ろのキレイ系女子に話しかけてみた。
「同じ班だね!これからよろしくっ!」
話しかけた女子は、黒髪のサラサラロングヘア。いいなーこの髪質。この子もけっこー切り目だ。
「うん。名前は?」
その子はちょっと緊張してるみたいに見えた。
「私、新崎 ミコトだよっ!」
朝からあった嫌なことはすべて切り替えて私は元気よく明るく話した。
「私は河南 りさ」
りさちゃんはとても恥ずかしそうにあいさつをした。とてもかわいかった。

すると、廊下からキャーキャーうるさいほどの声が聞こえた。芸能人でもいるの?その声はだんだん大きくなっていって、教室にいた女子たちを立ち上がって見に行っている。
その声の原因がこの教室に入ってきた。イケメン男子だ。けっこー誠実そうな黒髪の短髪。かっこいいなー。
その男子はなんと私の横の席だった。
「よろしくねっ!」
いきなり私に話しかけてきてビックリした。
「う、うん。」
「なんか緊張してない?」
「ううん、してないよっ」
「俺、加賀美 漣。よろしく」
と言って私の前に手を出してきた。
これは握手の合図?私はよくわからず加賀美 漣に握手をした。すると教室中のみんな(女子たち)からの視線が半端なかった。
「きみは?」
彼をよく見てみるととても整った、いかにも女子が大好きな顔。そりゃーモテるだろうな。
「私は、新崎 ミコト。」
いちよ、素っ気なく言ってみた。視線がすごいから。
「かわいい名前だね!」
この男はなんなんだ!初めてあった女子にすぐにかわいいと言えるとは。こいつは絶対モテ慣れてるな。まー名前がかわいいと言っただけだけど。
ふと、斜め後ろのりさちゃんを見てみると真っ赤になっていた。やっぱクールそうなりさちゃんでさえ照れるんだなー。男子はりさちゃんにギャップ萌えしそう!

ガラガラー
「おはよう!初めてのホームルームを始めるぞー」
ホームルームが始まろうとした時、
「おっとー!ギリギリセーフ!」
「初日そうそうから遅刻だぞ」
「すみませんー」
その男子が言った瞬間、教室には笑いがおきた。
ってか!あの男子、さっきの!?
「じゃー自己主張をしていくぞー」
驚きを一旦抑えて私は自己主張をする。
「えー私は南崎中出身の新崎 ミコトです。よろしくお願いします!」
拍手をもらって私は静かに椅子に座った。
「俺はー、大和中だった伊勢谷 瞬です」
さっきぶつかってきた男子はこいつだった。