それから一ヶ月が経った。
優斗にはまたいつも通り、恋人と間違われるようなことをされていた。
ひどい時は休み時間毎に優斗が私のところに来て抱きついてくる。
少し変わったことといえば、最初のうちは授業中に優斗がよく寝ていたことぐらい。
「沙織ー。」
そんなある日。
夜、お母さんが家に帰ってくるなり私の名前を呼んだ。
「はーい。」
一階に降りるなり、お母さんは私にチケットのようなものを二枚渡してきた。
「これは?」
「沙織が観たいって言ってた恋愛映画のチケット!
得意先の人がくれたのよ。」
お母さんに言われ、チケットをよく見ると私の観たい恋愛映画で喜んだのも束の間。
日にちを見ると明日の土曜日だった。
「明日か……」
「そうなのよ。私も今日もらってね。
友達でも誘って行っといで。」
「そうする。
ありがとう。」
急だったけど、観たかったやつだし美香を誘おうと思った。