医者が病名を告げた。
 
そして、3年後の生存率は5%だと言った。
 
隣に居た母の、声にならない悲鳴を聞いた。

 

へぇ、そうですか。

 

その言葉が実際に口に出たのかは分からなかった。
 
僕は至って冷静だった。
 
これが僕でなければ、泣き叫んでいたかもしれない。

あるいは、あまりに残酷すぎる運命を受け入れられずに呆然としていたかもしれない。

いずれにしても、それは『僕でなければ』の話だ。
 
ただ僕の中で何かが引っ掛かっていた。
 
死を受け入れられない、もう一人の自分がいるのかもしれない。








後悔はない。
 

やり残したこともない。
 






なのに、どうして。

 
 







君のせいなのだろうか。
 
そんな考えがふと浮かんだ。




君は僕を、僕の心を、





 
 


変えてしまったのかもしれない。