「ねぇ、もう。ついてこないで」







お昼を急いで食べて教室に逃げようとした。

でも、颯汰くんはついてくる。









「授業以外はなるべく傍にいたらダメ?」


「ん。邪魔」








彼の優しい言葉に冷たく返すことしか。

できない。





ガラッと教室のドアを開けるとクラスの人が一斉にこちらを見る。








_ツッキーが来た!

_やっぱ、陽と仲いいんだ。








颯汰くんをツッキーと呼んで親しむみんな。

知らなかった。有名な人だってことも。










「陽、入んないの?」


「颯汰くんは帰らないの?」


「ん。まだ、昼休みだし」









仕方なく友達のいる所に行けば颯汰くんもついてくる。

それを見てニヤニヤとする友達。










「陽ー、いつのまにツッキーと仲良くなったの?」







私と颯汰くんの間を割って入り離す愛美(まなみ)。







「仲良くないし」


「え?そうなの?」


「そう。」









愛美と私の会話を聞いて颯汰くんが変わらない笑顔を歪ませた。









「俺って、そんなもん?」


「へ、、どういう」


「陽にとって、そんなもんでしかない?」









愛美をさりげなく避けるように私に近づいた。

後ろ歩きで離れる私に遠慮なしに距離を詰めていく。








「颯汰、くん。ちょっと」


「俺、確かに昔と違うよ?そりゃ、高2になればね」


「ん。うん、わかったから」


「わかってない」


「もう!それ以上来ないで」










ドンッと壁に背中をぶつける。

手をズボンのポッケに入れてる颯汰くんは近づきそうで近づかないもどかしい距離にいた。










「俺は、いつでも宣言できるよ。さっき言ったこと。」


「ぇ」



さっきとは。保健室での『好き』という事についてだろうか。






「誰の前だろうと、胸張って言える。本気だから」


「、、あの、だから」


「好きだよ。陽」


「うっ、、なんで言うの」


「言わないとは言ってない。」









ニコッと意地悪な笑顔で爆弾を捨てて逃げた。

颯汰くんがいなくなった教室で、私はクラスの子に囲まれた。









_なにあれ!

_いつから?!

_今のって告白だよね!!







後から知った。

休んでた一週間、ずっと颯汰くんは私を訪ねてクラスに来ていたこと

それから、颯汰くんは優しくてカッコイイと人気があること。







「そ、そんなんじゃないから!」






照れてないと言ったら嘘だが、
ニヤけて甲高い声を上げるほどではない。

また、からかわれそうだ。