目が覚めると、腕の中にはまだ七瀬がいた。


時計を見るともう10時。


この1週間の疲れでいつも6時には起きている七瀬が10時になっても起きない。


髪の毛で隠れた顔を見つめる。


顔にかかっている髪をさらさらと流すと、長いまつ毛のついた目が少し動く。


あ、起きちゃうか?


そう思ったけど七瀬はそのまま俺の胸に顔を埋めて目は覚まさなかった。


なんだこのかわいい生き物は。


ほんとに、おかしいくらい甘えたになっちゃって。


昨日の夜は寝るのに苦労した。


七瀬すぐに寝ちゃうし、寝てるのに寝言で「いおり〜…」とか言うし、抱きしめてくるし、ほんと。


生殺し。


かわいいんだけどね、引くほどかわいい。


でも、俺全然ねれなかった。


七瀬のせい…。


安心しきって寝ている七瀬の頬をムニッとつまむ。


また、下着見えてるなぁ、もう。


俺は七瀬から視線を逸らした。



「…い、おりぃ、」


「…っ」


寝言でもにょもにょと俺の名前を呼ぶ。


油断も隙もない。


七瀬はコロリと仰向けになって、寝息をたてる。


赤い、形のいい唇が小さく動く。


ほんとに、朝からも生殺しじゃん…。


七瀬の首元はお兄さんのであろうTシャツにより白い肌が大きくあらわになっている。