石原伊織。


私たちの学校の生徒会長。


通称『王子』


かっこよくて優しくて。


頭は少々残念だけど、運動神経はとてもいい。


控えめに言って引くほどモテる。



しかしこのお方。


書記であり幼なじみの私、南七瀬以外の女の子は苦手なのです。



「会長。今日は会議なんです。


バスケ部の女子集団に怖気付いている暇はありませんよ?」



「南さん。そんなことは分かりきっているよ?でもね?」



私の隣で顔を青くした会長が言う。




「僕女の子苦手なんだよ」


「そんなことは知っています。


だから朝練時間中でできるだけ人の少ない時間に来たんじゃないですか」


「ここに女の子がいたら意味が無いだろう!」



会長は焦ったような声を私に投げつける。



「はいはい、叫ばないでください会長。生徒会室はすぐそこですよ」



私の指差す先はバスケ部の女子達を超えたすぐ向こう。


生徒会室と書いてある札だ。



「行きますよ?会長。

バスケ部の人たちも会長の女の子が苦手なことは知ってるはずですから、このタイミングでわざわざ声をかけてくることはありませんよ」



そう、この会長。


あろう事か女の子が苦手だと公言しているのだ。



だから、女の子達もそれを受け入れ挨拶ぐらいしかしてこない。