「こんばんはぁ~」

めったに見ない、酔った姿の彩ちゃん。

「ご機嫌だね~。
何か良い事あったぁ??」店のシャッターを下ろそうとしたら

ケラケラ笑いながら、コンビニの袋を振って近づいて来た。

「今日は、何の日でしょう~
正解はぁ……………………………」

質問して、直ぐ答えって………

相当酔ってるねぇ~。

呆れてたら

「バレンタインだよ!!!」って……オレに沢山のチロルチョコを

投げつけた。

「あっ!こらっ、酔っぱらい!!
食べ物を粗末にしちゃあダメでしょ!!」

袋から飛び出したチョコを、しゃがんで拾ってたら……

背中に乗っかって

………………………………………泣き始めた。

「あぁ~ん。洋ちゃ~ん……………」

あぁ~ヨシヨシ。

この態勢だと、慰めることも出来ないから……

一旦起こして、店のシャッターを再び開けた。

「このチョコは、オレが貰っていいの??」

優しく問うと

「だって………洋ちゃんに買ったもん………………」って。

「ありがとう、嬉しいよ。」

まだまだ涙の止まらない彩ちゃんに、ミルクティを差し出す。

向かいに座る彩ちゃんは

はらはらと落ちる涙を、拭おうともしないで

子供のように泣き続けた。

この前、公園で見た綺麗な涙と違って………

心のままに泣く彼女に………………愛しさと安心を感じる。

はぁ~。

やっと、心から………失恋出来たかなぁ~

「今日は誰と飲んでたの??」

しっかり者の彩ちゃんが…………こんな姿を見せたのって…………………誰だろう?

不思議に思って尋ねると

「海晴…………。」って。

なんだ。海晴ちゃんか…………。

「二人で??」

「…………………………合コンに行った……………。」

「はぁ?!」