銀色の刀が路地裏の暗闇の中で光る。









「はぁーあ、俺疲れちゃった。君のせいだよ。」








太ももの真ん中あたりぐらいまでの灰色のパーカーが風に靡く。









「……って、もう返事なんてしないか。」







あはは、と口先で笑った人影。



灰色のパーカーのフードがパサリと静かに音をたて、人影の……いや、少年の顔があらわになる。



それはそれは、美しい少年だった。



月光が少ししか入らないここでも分かってしまう程、顔が整っている。
少し癖毛のある髪、スラッとした細身の体のシルエット。


そしてまだ中学に上がりたてのような幼い顔をしており……、その顔には妖艶な笑みを貼り付けていた。




薄ら笑いとも読み取れるその笑顔は、幼い顔とは裏腹に色っぽい大人を連想させるかのような……。







「……ふふっ。」







ポツリ、と、効果音でもつきそうで笑いを零したかのような音が、重力に身を委ねて空気の中を落ちる。

それを合図とともに少年は歩き出した。