私はティアニカ。

私の役目は、師であるサザリナ様の補佐と、姫様であるエレイン様のお世話をすること。

本当なら、セレーナ様のお世話もするべきなのだけれど、セレーナ様は魔女である私のことを恐れていらした。

だから、お小さい頃から世話をしていた人しか、セレーナ様は受け入れず、人見知りをしないエレイン様を私がお世話していた。

最初は、ただ仕事だからエレイン様と接していた。けれども―。

「ティアニカの髪って素敵ね」

エレイン様は私の髪を見てそう仰った。

けれども、私は自分の髪が嫌いだった。緑の髪は魔女である証だから。

小さい頃から、私はこの髪の色のせいで、ずっと辛い思いをしてきたから。

「……そんな、お世辞なんて勿体ないです」

「お世辞じゃないわ。ティアニカの髪の色は宝石の色だもの。むしろ誇るべきだわ!ええ、大いに誇るべきよ」

自信満々に胸を張り、私の髪を撫でながら、エレイン様は笑った。

「………っ……」

ポタポタと、気付けば涙が頬を伝っていた。

「ど、どうしたの?……私、何か嫌なこと言っちゃった?」

「いいえ……いいえ!……ありがとうございます。姫様」

たかが世話係りである私が、王族であるエレイン様に触れるなど、恐れ多いことと知りながら、私はエレイン様を抱き締めずにはいられなかった。