目覚めたアントニウスは、国王陛下の午後のプライベートな散歩に招かれたことを執事から知らされた。
 確かに、誰に聞かれるかわからない王宮内のサロンでの話よりも、国王のためのプライベートガーデンでの散歩であれば、庭師は下がっているし、護衛ですらプライベートガーデンの外とで護衛に当たり、唯一、国王が自分一人になれる場所なので、アントニウスの秘めたる秘密を打ち明けるにはぴったりの場所だった。
 実際のところ、王太子であるロベルトがプライベートガーデンを散歩する時は、王太子に関わるエチケットに従い、必ず侍従長か、次席にあたる副侍従長がぴったりとロベルトにくっついているので、そういう意味でロベルトが一人になるには、私室で人払いをする他はない。それを考えると、国王が自分に関わるエチケットを一掃して自由を得たことは傍目にも明らかだった。
「では、今日の装いは派手すぎないように、少し落ち着いたものにしてくれ」
 アントニウスは指示すると、とりあえず朝の着替えを済ませて朝食を摂るために階下へと降りていった。

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