アレクサンドラに言わせると『性懲りもなく』で、アーチボルト伯爵に言わせれば『やっぱり』で、王宮からの使いは翌日の午後には伯爵邸を訪れ、アレクサンドラに白い百合の花束を携え、ジャスティーヌには、ホーエンバウム公爵家での舞踏会にロベルト王子がジャスティーヌをエスコートするという書簡を携えての事だった。
 これは、アレクサンドラを公爵家の舞踏会にエスコートしたのに、ジャスティーヌを公爵家の舞踏会にエスコートしないというのは不公平だとの考えからと思われたが、王子にエスコートされ、最上位の貴族の舞踏会に出向くと言うことに、ジャスティーヌはやはり気後れしていた。
 本来、アレクサンドラが招待されるべきパーティーに自分が招待されることに引け目を感じているというのも事実だった。
 四日後に迫る舞踏会のための支度が猛スピードで進められ、ジャスティーヌにはロベルト王子の事を考える時間もなかった。
 ジャスティーヌの代わりにアレクサンドラが両親に顔合わせの舞踏会での出来事を説明したこともあり、両親からジャスティーヌが根掘り葉掘り問いつめられることはなかった。
 あの手この手で、なんとか二人が出席するホーエンバウム公爵家の舞踏会に忍び込もうと画策していたアレクサンドラも、今回の厳選された招待客と自身がホーエンバウム公爵夫人に面識がないという理由から、今回はそばに付き添うことを断念せざるを得なかった。