五十嵐織人 side
今日は快斗は部活。
俺は部活はオフ。
オフだからといって、他の友達と遊び回ろうとなんかしてみろ。格好の餌だ。
取り巻きの女が増えるだけで、自由になんか遊べるわけがない。
見栄えがいい、それは昔から言われてきたことだが、そういうのにも種類がある。
快斗みたいに、いい人オーラがダダ漏れで見栄えの良い奴は、慕われる。コミュ力も高いから、しつこい奴も上手く対処できる。
俺みたいに、面倒臭がりで愛想の少ない見栄えの良い奴は、近づいてくるやつもろくな奴じゃないことが多い。
話しかけられながらも、何とか校門を抜ける。
まっすぐ家コースだな。
中1の頃、もうすでにこの見た目で愛想もいい訳じゃなかった俺は孤立してた。
そんな中で、友達になってくれ、と言ってきたのが快斗。俺と友達にならなくても、たくさん友達のいた快斗が、何故俺にそんなことを言うのか、疑問しか生まれなかったが、気付いたら高校でも一緒にいる。
喧嘩なんかほぼしたことが無い。
そんな良い奴で、人望もあるアイツが、柊時雨を好きになったと聞かされた時は、心の底から意味が分からなかった。