「...暑い...」
30度越えの炎天下の中。
「では、これより第32回体育祭を開始します」
誰も待ちに待ってなどいない、体育祭が始まった。
「はあ...めんどくさ...」
周りには聞こえない小声で、思わず本音を呟く。
こんな熱中症イベント、本当に必要かしら?
気だるげな表情をしながら手を仰ぐ、周りの生徒を見て心底そう思う。
とはいえ、
「夢路さん、頑張ってね!赤組の優勝は夢路さんにかかってるんだから!!」
一部の人には需要があるようだけど。
メラメラと闘志に燃える、同じクラスの松野さんを見て思った。