翔 side

「翔様、縁談のご用意ができました。」

執事の声がする、そうだ今日は母さんたちが手配した縁談の日だ。

「今行く」

正直言うと、縁談なんて面倒くさい。
そもそも俺は彼女などいらないのだ。
女が嫌いなのではない、1人の女に執着するのがかったるい。

俺は部屋の扉を荒々しく閉めてお屋敷の階段を駆け下りた。
応接室までは結構距離がある。
九条家のお屋敷は無駄に広いのだ。

トントントン
軽くノックをして応接室の扉を開く。

その時、俺は驚いた。
なぜなら扉の向こうには、鷹司学園で有名なあの女がいたからだ。