そんな感じで森は私の遊び場になった。

森は居心地が良かった。

誰も自分を冷めた目で見たりしない。

誰も自分を仲間はずれにしたりはしない。

森で走り回っていれば、自然と時は過ぎて行

く。

でも、私は次第に飽き始めた。

いつも入り口近くで遊んでいたため、景色を

完璧に覚えてしまったのだ。

すると、何を思うかといえばもっと奥に行っ

てみたい、ただ、それだけだった。

でも、これ以上深く森に入り込めば、迷子に

なってしまうかもしれない。

脳内の何処かで危険信号が点滅したが、探究

心が勝った。

私は森の奥に大きな一歩を踏み出した。

それに…

空気のような私が少し町にいなくても、誰も

気づかないだろう、なんて思ったりもした。