ケータイ小説 野いちご

Sweet Summer Valentine

7月7日、甘いサマーバレンタイン。

彼が海外に転勤になることを知ったのは、ちょうど5年前。

ベッドのなかで二人愛し合ったあとのこと。

「充彦。ねえ、どういうこと」

「しかたがないんだよ、仕事だから」

空野充彦、外資系の大手会社に勤める、わたしよりも5つ上の34歳エリートサラリーマン。

現在は若いながらも幹部候補で一目置かれた存在。

わたし、緒方亜姫は充彦の部下として働いていた。

今は出向で子会社に勤務して現在に至る。

新入社員で入って、彼の直属の部下になったとき、顔よし性格よし、アタマよしの三拍子そろった好青年に一目惚れしてしまった。

要領が悪かったせいか、怒られていたけれど、遅くまで二人だけで仕事を手伝ったある日、抱きすくめられキスをされたときは、こんなわたしでよかったのか、と不安になった。

一瞬で恋に落ちたと、初めて体を通じて愛し合う前に告白された。

あれから5年。正直わたしのこと、本当にどう思ってるんだろう。

ただの体の相性がいいだけのように感じるんだけど。

と、思った矢先の転勤バナシにどうしていいか、頭が働かない。

これからどうするの、という前に新事業の立会いで3年は日本を離れなくてはいけないと付け加えられた。

せっかく二人で住もうとお互いの会社の間にある場所に引っ越したばかりだというのに。

「亜姫も一緒にくるか?」

「くるかって、そんな簡単には」

「だよな。わかってるよ」

確かに仕事は大切だ。それでもわたしのことも大切にしてほしい。

「必ず戻るから。毎日メールも電話もするから」

「……うん」

ほっとしたのか、充彦はわたしの頭を軽く撫でた。

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