いつ自分にもアプリが回って来るかと冷や冷やしていたが、無事に放課後を迎えていた。


すべての終了を告げるチャイムの音を聞くと、全身から力が抜けていくようだった。


学校にいながらここまで緊張状態が続いたのは初めてのことかもしれない。


試験中にだって感じなかった大きなストレスを、ずっと感じていた。


あたしは荷物を持って足早に出口へと向かった。


誰かに呼び止められる前に早く帰りたかった。


家に帰ったってアプリから逃げられるわけではないけれど、馴れた自分の家にいるというだけで安心できるから。


「次は亮太が相手だ」


教室を出る手前で颯樹のそんな声が聞こえてきて、あたしは立ち止まってしまっていた。