どうやら、アプリからのペナルティは本物のようだ。


あたしは南のスマホを握りしめたまま立ち尽くしていた。


いや、こんなのただの偶然だ。


南はきっと朝から体調が悪かったんだ。


そう考える方がずっと自然だった。

アプリが南に何か手を下す事なんて、できるハズがないんだから。



「南も《絶対命令アプリ》をダウンロードしてた」


そんな声が聞こえてきて、ハッとして振り向いた。


クラスメートの平松美奈(ヒラマツ ミナ)が蒼白顔であたしの手の中にあるスマホを見つめている。


あたしは咄嗟に南の机の中にスマホを戻した。


けれど、美奈の一言で教室内は静まり返ってしまった。


美奈はポニーテールを揺らして自分の席へと戻って行く。