「……妖斗、成長したな」



直後、光にぃは隣にいた俺にそう静かに言った。






「え……?」




「……俺達を信じてくれて、俺達なら朔をどうにか出来るって、そう思ってくれてありがとう。




昔のお前だったら、そんなことはちっとも考えなかっただろ?」




光にぃは俺に優しく微笑んだ。






昔の俺……。





全てが壊れたあの日、



俺は何かを求めるのも信用するのもやめた。








自分には求める権利も、他人を信じる権利も、何より人殺しに他人に信じられる権利もないと思った。







いや、俺は……ある事を経験してそう思い知った。







そのある事が何か、今は覚えていないけれど。