永らく朝日を見ていなかった気がする。





真っ暗で明かりひとつない世界に俺はいた。



そこには何もなくて、床も壁も何処も彼処も暗くて、



『……兄さん、兄さん』




声は聞こえるのに、どこから聞こえてるのか全然分からなかったんだ。





でも、ある日その世界に誰のかわからない細い手が現れた。




掴んだらそれは弟の手だった。






俺が命に変えても守ろうとした妖斗の手。






「ゲホッゲホッ」





俺は体も起こせず、ベットの上で咳き込んでいた。




「はぁ……っ」