『光輝、大好きよ?』
あれ?
……これ、夢か?
『俺も母さんが好き』
ちっちゃい俺が、母親と思われる人にそう言っていた。
母親の顔は、白くボヤけている。
『ごめんね、ごめんね光輝。本当に、大好きよ……』
泣きながら、母親はちっちゃい俺の前から姿を消した。
「……き、光輝っ!!」
誰かに呼ばれ、俺は目を覚ました。
俺の目の前には、聖里奈がいた。
「あれ、聖里奈……。なんでいるんだ?」
ここは俺の家の自室なんだけど。
「あのねぇ……今日から専門学校に行くんでしょう。翼咲と妖斗もう松浦の始業式行ったわよ?光輝が寝坊なんて珍しいじゃない。どうしたの?」
聖里奈は、まくし立てるように言った。
「……いや、なんかお袋が出てくる夢を見た」