【夏葵side】



───…ピーンポーン


次の日の朝、家のインターフォンが鳴った。


おばあちゃんかおじいちゃんのどちらかが出てくれるだろうなんて甘い考えを抱いていたけど二人は手が離せないのか誰も出ない。


…私が出るしかないか。


そう思い、重い腰をあげて玄関へ向かう。


「……はい」


ガラガラッと扉を開けて視界の中に飛び込んできた人の姿を見て私は反射的に開けた扉を再び閉じた。


「ちょ、おい!
俺の顔みて閉めることないだろ!」


そう、扉の先にいたのは……会いたくないサキだった。
いや、内心は会いたかったのかもしれない。
私の心はいつまでも矛盾したままだ。


なんでまた来るわけ?


私は昨日、あんなにひどいこと言ったのに。
胸が痛むのを必死に我慢して無理やり突き放したのに意味ないじゃん。


「か、帰って!」


「いやー、それは無理だわ」


「あ、あんたの顔なんて見たくない!」


話し方も昔と何も変わっていない。
そんなことに懐かしさを覚える。