【夏葵side】
「なっちゃん。誕生日おめでとう。
今日はケーキ用意してるからね」
「えー!そんなのよかったのに!」
「何言ってるの!今日はなっちゃんの誕生日なんだから当たり前!」
朝からおばあちゃんに祝ってもらった。
嬉しさから自然と頬が緩む。
そう、今日は私の誕生日。
あれから数日経った今、サキとは会っていないけど、あの日の夜にSNSで琴音がサキとのツーショットを載せていたからちゃんと話せたんだと思う。
昨日はサキの誕生日だったから一応おめでとうのメッセージは送っておいたけど、返ってきたのは「ありがとう」のたった五文字だった。
いつものサキならもっと返してくるはずなのに、と落ち込んだのは秘密。
「準備するからなっちゃんは
これで好きな物買ってきなさい」
そういうと、おばあちゃんは私に1万円札を渡すと「いってらっしゃい」とでも言うように手を振った。
「い、いいよ!
もらえないもらえない!」
「いいから。
今日くらいとびきり甘えてもいいのよ」
おばあちゃんの優しくてひだまりのような笑顔をみると、心が和らいでいく。
今日くらい……いいのかな。