時間は戻らない
だから、大切なんだ。
永遠なんてどこにもないのに
あのときの私たちは疑うこともなく
根拠ない永遠を、信じていたんだ───。
中学三年の夏。
私たちから永遠が消えた年。
『今日も行く?』
『行っちゃいますかっ!』
陽射しがアスファルトから照り返し、ジリジリと肌が焼けるように暑い夏のある日。
私と彼は近くの駄菓子屋でラムネを買ってからいつものようにある場所に向かっていた。
春には桜がたくさん咲いて辺りをピンクに染める一本の並木道を彼が漕ぐ自転車の後ろに乗って、自然の風を感じた。
『ひゃあーっ!もう地獄のテスト終わったし
解放感ハンパない!!』
白いワイシャツをぎゅっと掴んで、
片手を空に向かって持ち上げる。