「てなわけで、文化祭のクラスの出し物を決めるため、アンケートを配りまーす」



11月に入ると、いよいよ文化祭シーズン到来。


高校に入学して初めての文化祭でクラスが浮き足立つ中、私はそれでなくともソワソワする毎日を送っていた。





「はい」


「ありがとう」



前の席から回ってきたアンケートを受け取り、自分の分だけを一枚抜いて、それ以外は後ろへ。


プリントを回そうと体をひねれば。



「ありがとう」



うっ……!!



後ろの席の高峰くんとバッチリ目が合い、微笑まれてしまった。



「あ……え、いや……うん」



私はアンケートを渡すと、慌てて前に向き直る。



うぉいっ!!!


これじゃあまりにも不自然でしょうが……!!


普通にしろ!普通にしろってば私ぃ!!!



自身の机にゴンゴン頭を打ちつけて自分を戒めていたら、それに気づいた隣の須藤くんに「い、飯島さん!?」と心配されてしまった。



初めてこの席順を恨めしく思うぜ。


自意識過剰とは思いながらも、後ろからの視線が辛いこと限りなし……。




高峰くんに告白されてから、早一週間。


私は彼に普通に接することができなくなってしまっていた。