主催──街場美世が最初に殺した人間は大柄の男性。

全くもって不思議ではあるが、歩夢にとってその人間は初対面の筈であるのにも関わらず"見た事のある"顔だった。

"見たことがある"と感じたのはそいつだけではない。


ここに来た人間全員だ。



主催が次に目をつけたのは、当然ながら隣にいる歩夢だった。

このとき歩夢がとった行動は逃げるでも戦うでもなかった。


とりあえず、刺されてみた。貫かれてみた。

腕でガードし、貫かれてみた。

歌い手、YouTuber風に言うなら「腕【貫かれてみた】」。

腕は貫通したのちに穴の空いた部分から崩壊していき歩夢の肘から下の腕は地に落ちた。