『では、今から授業を始めます。
今日は空と海と虹を紙に絵の具で描きます。』



「「はーい」」



美術の時間、私はとても嫌いだ。色が分からない私には難しい。絵の具なんて言われても知らない、わからない。隣の川崎海くんはどんどん描いてるし。誰か、手伝ってくれないかな…


「春っ!大丈夫?」
「流花!ねぇ、どうしたらいい?色分かんないのに描けないよ〜」

流花は私の親友。幼なじみ。彼女の前ではたくさん話せるんだ。彼女は私の目について知っている人物である。私の理解者だ。


「そうだよね〜。隣の川崎くんに教えてもらったら?うちとは班違うし。」
「うゔ〜…」
「川崎くん。春にも教えてあげて?」
「は?何で?自分でやりなよ。バカじゃないの?」
ボソッとつぶやいて描く続きをしている。はー…バカ、かー。


私が色を分からないのはほとんどの人が知らない。もちろん彼も。だから頼めないんだ。流花も気付いたみたいで…

「言ってないの?もうクラスみんなに言うべきだよ。」
「うん、でも、怖いんだもん。」
「でも…」
「う、やっぱり、言った方がいいよね。もし、みんなに嫌われても友達でいてくれる?」
「当たり前じゃん。てかそんなことで嫌われたりしないと思うけど…」
「じゃあ、言おうかな。」
「今言おう!」
「…わかったよ」



流花が先生と話してくれたみたいで、

『今から春野から話があるそうだ。みんなちゃんと聞くように!』

「「……」」


「わ、私は…色が分かりません。目は見えてますが、色覚が悪いので、どの色も分かりません。なので、迷惑かも知れませんがいろいろお願いします。白黒に見えています。」