翌日。

レインはまた山を登っていた。

太陽の光がそこまで強くはないとはいえ、急な坂では体力もすぐに削られる。

けれども、もう少し。後少しと思いながら登り続ける。

まずは頂上に着かなければ。

「!見えた!」

ようやく開けたところが上に見え、レインは一気に登りきる。

「はぁ、はぁ、はぁ……………っ…………わぁ!」

目の前に広がる景色に、レインはため息が漏れた。

辺り一面緑色に染まり、その向こうには岩で出来た山がある。

岩は二つに割れるよう裂け、その間からは滝が流れ落ちていた。

日の光に照らされ、大きな虹が浮き出ている。

「…………綺麗」

今まで、こんなに綺麗な景色は見たことがない。

この世界には、こんなに綺麗な場所があったのだと感動する。

あれが、龍の谷なのだろうか?

しかし、離れているせいなのか、龍の姿は見えない。

ティアと籠を置いて、ギリギリまで前へと出ると、目を細めて眺める。

すると、黒い点のようなものが見えてきた。

それは、段々大きくなっていき、形も変わっていく。

(何あれ?鳥?)

丸い何かの両端には、細長いものが付いており、それは上下に動いていた。

(こっちに来る)

真っ直ぐ、こちらへと向かっている気がする。

そう思うと、レインはティアを抱え籠を背負い、近くの木へと隠れた。

正体が分かるまでは、隠れていなくては。