二段ベッドの上段で寝ているパーシヴァルを横目に、ラクベスは薄暗い室内でノートパソコンを開いていた。

 彼のいびきも、心地よいBGMとして聞き流せるくらいには心の余裕を持っている。

「石動(いするぎ)──」

 目にしたデータにラクベスの表情が曇る。ペットボトルの水で喉を潤し、小さく唸って思案した。

 深く息を吸い込み、落ち着いたところで携帯端末を手に取り、どこかにかけ始める。

 彼らには属している組織があり、最低でも一日、一度は報告が義務づけられている。

「ラクベスです。今回の件について──はい」

 やり取りはしばらく続き、通話を切った青年の表情はやはり苦い。