今にも雨が降り出しそうな厚ぼったい雨雲。
遠くから、雷の音がゴロゴロと聞こえる。
きっと、これから始まる困難を教えようとしていたのかもしれない。
夕暮れを過ぎて辺りが夜の空気を纏い始めた時刻。
明日から始まる新しい生活に期待と、それから不安を抱えながら走っていた。
一瞬、ほんの一瞬の出来事。
向こうから照らされた眩いライトに目がくらんで、身体が宙を舞った。
白い光に全身が包まれた。
翼なんて持ってはいないのに、身体が投げ出されて―――
そして、堕ちた。
翼が折れた瞬間だった。
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