ケータイ小説 野いちご

さようなら、ディスタンス。

①異性の友達とのキョリ
☆☆☆




『東京というタイトルの音楽は名曲が多い』といつか彼は言っていた。


例えば? とわたしが尋ねると、彼は知らないバンド名をいくつか挙げた後、『おれもそういう曲を作りたい』とつぶやいた。



それがフラグだったのかもしれない。



『未織、大好きだよ』


『だったらわざわざ東京なんか』


『行くよ』


『わたしが、行かないでって言ったら?』


『気持ちは嬉しい』


『でも……っ』


『ごめん、もう決めたから』



だめだ。これ以上何かを言ったところで、彼はきっと『ごめん』としか言ってくれない。


大好きな彼氏、光くんが東京に行くことは、もう決定事項らしい。



BGMは、国道を猛スピードで走り抜ける車のエンジン音。


ただよっているのは、大型トラックかららしき排気ガス臭。



普通こういうシーンは、もっと絵になる場所で繰り広げられるはず。


町が見渡せる丘とか、夕日が差し込む放課後の教室とか。



わたしたちが今いるのは、国道4号線沿いのだだっ広いコンビニ駐車場。



< 2/ 103 >