8人の足音と呼吸だけが聞こえて来る。


薄暗い学校内はとても肌寒く、外の気温がどんどん下がってきているのを肌で感じていた。


3年A組の前まで来て、あたしたちは自然と立ち止まっていた。


この教室内にトオルはいる。


トオルのサプライズなら、うんと懲らしめてやらなきゃ気が済まない。


もし、そうでなかったら……。


そこまで考えると、また体感温度が1度下がったような気がした。


もし、このドアを開けて状況が変化していないようだったら……。


涼希の手がドアの取っ手に触れた。


心臓が早鐘のように打ち始める。


なにも聞こえてこない教室内に、嫌な予感が渦巻き始める。