桜がこれみよがしに満開に咲いて、私たちの入学を彩り、祝福してくれているような、そんな雰囲気に包まれた四月一日。
今朝セーラー服に袖を通すとき胸がドキドキして、とてもワクワクした。
これから新しい生活がはじまるんだと思うと緊張と楽しみで顔が綻んで仕方なかった。
同じ小学校だった人たちが多いとは思うのだけれど、違う小学校からもたくさんの人たちが入学してくるから、どんな子と仲良くなれるのか、いまからとっても楽しみ。
「蒼、遥香、ちょっと並んでこっち向いて」
朝ごはんを食べ終えて制服を着た私と蒼の写真を母が家の前ではりきってパシャパシャと撮りまくる。
私はノリノリでポージングするけれど、蒼は「もういいって!」と恥ずかしがりながら歩いて行ってしまう。
「あら、男の子の反抗期って早いのね」
母の一言に思わず笑い、「行ってきます」と蒼の背中を追いかけた。
「蒼、待ってよ」
「なんだよ。もっと離れろよ」
「はん? もう反抗期なの?」
「はっ、ちっげーよ。中学生になるのに女と登校するなんて恥ずかしいだろ」
「なに言ってんの。姉弟じゃん」
「俺らのこと知らないやつらはそう思わないよ」
小学六年生から中学生になるってそういうこと?
卒業から一ヶ月も経っていないのにその心境の変化は理解できないんだけれど。
「……蒼、さては彼女が欲しいんだな?」
「そ、そ、そんなんじゃないし……っ!」
思春期め。わかりやすすぎ。
しかも、そういうのを反抗期っていうんじゃないのかな?