ケータイ小説 野いちご

265kg→0kg

50kg



【50kg】


【どうして減らない】&【どうやったら減る?】


今、私の頭を占めるのは、この2点のみ。


もう太ってはいない。それは分かっている。女性らしいお洒落もできる。外を出歩いて後ろ指をさされることもない。デブじゃないんだ‼︎


でも__痩せない。


そのことは、私を絶望に陥れるには充分だった。


「いただきます」


小声で手を合わせ、小さく盛られたサラダとにらめっこ。


ゴクリと生唾を飲み込んだ私は、こっそりとサラダを捨てた。


わずかな食事でさえ、とらなくなってしまったのだ。


水すら、飲むのをためらった。唾でさえ、飲むのではなく吐き出す。


そうすれば、私は幸せでいられた。


痩せ続けて【50kg】になっても【生きている】と感じられた。


しかし、夫はそうは感じなかったらしい。


軽々と私を持ち上げると、病院に連れていかれた。


【極度の栄養失調】だと診断され、点滴の針が刺さる瞬間、私は大暴れした。


1cc足りと、体に注入させるものか‼︎


それで体重が増えでもしたら、どう責任を取るんだ‼︎


「寿子、もうダイエットはやめよう。これ以上、痩せる必要はないんだ」


結局、根負けした夫に連れ帰ってもらうが、さっきからワケの分からないことばかり言う。


「とにかく今日はゆっくり休もう」


優しく声を掛けられ、私は目を閉じた。


けれど夫が居なくなると、その目をかっと見開く。


私は気づいたんだ。


寝なければ__痩せる。








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