ーーーー特に感情は浮かばなかった。

「...っ」

ムカついたから、俺のお気に入りの場所で女をヤろうとした男どもが。
俺の場所を汚そうとした奴らが
ムカついたから。
ただ、ぶっ飛ばして俺の場所から放り出した。

「っ、は...だ、れ?」

息も絶え絶えに
死んだような真っ黒な目を俺に向けて、赤くはれた顔を抑えて痛そうに壁に寄りかかる黒い髪のオンナ。

『あ?んなこと関係ねぇだろ』

「たすけ、て...くれたの?」

『図々しいなお前。俺がそんなことする義理ねぇよ、ここは俺の場所だ出てけ。』

「あなたの...場所?」

目を丸くしてその黒い目を周りに向ける。
そしてゆったりと首をかしげる。

「...私有地?」

『んなわけなぇだろ。路地だろーがどう見たって』

「でも、いま、俺の場所だって」

『あ?俺の場所にきまってんだろ、さっきからいってんだろーが』

「変な、人ね」

少しふっと優しく微笑むオンナ。
すぐに頬に痛みが走ったのか眉間にシワを寄せて声すら出さず、悶えていて。
馬鹿じゃねーの、って言えばかもねとやっぱり痛そうに笑う。