お兄ちゃんの協力を得て、なんとか帰宅した火曜日。

うちに着くなりお兄ちゃん言った。


「咲、おまえさ。厄介な男どもに好かれてるな」

その言葉に、ん?と思っているとお兄ちゃんの話は続いた。

「お前がくっついたまま振り返った俺に、ガン飛ばしてきたメガネとワンコろみたいな男子がお前のこと好きな相手だろ?」

びっくりした。
噂になればいい位の今回の作戦。

まさか、本人達が目撃してるとは……。


「あいつらは一筋縄では行かんだろうよ。今回の作戦逆にアイツらの気持ち煽ったような気がするぜ」

ニヤリと笑うお兄ちゃんに、私は一気に理解すると引き攣りつつ聞いた。

「それ、具体的に男子目線ではどうなると?」

その問いに、お兄ちゃんは実にあっさり他人事のように答えた。

「そりゃ、今後は今以上に本腰入れてアタックしてくるだろうよ。アイツらの気持ちは結構本気だと思うぜ」

そして、お兄ちゃんはニヤリと再び笑うと言った。

「あの二人は、俺にガン飛ばすくらいには肝も気持ちも座ってるんだろうよ。これからしっかり自分で見て感じてちゃんと考えて返事してやれ」

そして頭をポンポンとすると言った。

「あの二人なら、どっちを選んでもお前を大事にするだろう。そういう気概はあった。本気の相手にはお前もちゃんと本気で考えて答えなきゃ失礼だろ」

そう言うとお兄ちゃんは自分の部屋に戻って行った。