「笑満―っ!」
 

旧校舎は使う人がほとんどいないためか埃くさい。


廊下に鬱積したそれを蹴飛ばす勢いで走る笑満を、私も本気になって追った。
 

コーナー、階段のところで笑満の腕を捕まえたと思ったら、勢い余って二人して転んでしまった。


「いたた……」


「ごめん、でも逃げるから追っちゃったじゃん」
 

逃がすまいと、笑満の腕を摑んだ手は離さない。


「どうしたの? 笑満、遙音先輩がすきだから恥ずかしいとかはわかるけど……なんかあったの?」


「………」