「日義はいいのか?」


「いいんですよー。あいつまた寝てばかりの癖に一位とか取りやがって。少しは困ればいいんだ」
 

俺の疑問に、松生は腕を組んで返してきた。
 

松生は咲桜の小学校来の友人で、もう一人日義頼といつも三人でいる。


松生は咲桜から、俺との偽婚約を聞かされて以来素の方でも知った仲だった。


俺は手元の本に目を落としたまま続ける。


「咲桜は?」


「日直の仕事です。でもすぐに来ますよ。流夜くんに逢いたがってたから」
 

松生の声がにやついている気がしたが、気にしない。


「珍しいな。咲桜と松生も一緒に来そうなのに」