『………今度はいつ戻ってくんの?また半年後か?』

―――俺は、お盆を持ち
玄関で立ち尽くしながら…
あの女と会った
昨日の事を思い出していた。

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これで何度目だろう―――?

人で埋め尽くされた空港で
彼女の由夏[ユカ]を見送るのは。


『何言ってるの。
私だって好きであっちに行くわけじゃないのよ?
また半年後?だなんて…
意地悪な言い方しないで……』

優しく笑いながら、彼女は切なげな表情をして、俺に寄り添ってきた―――

『悪い………』


いつもこうやって
椅子に座りながら…、限られた時間を過ごすんだ。


『ごめんね…。側にいれなくて。』


俺の肩に頭をのせている由夏から
ほのかに香るシャンプーの匂い。

この匂いも数時間後には
消えてしまう―――


彼女の頭に手をのせ
もっと近くに………
と抱き寄せた。