俺は桃子の瞳を探った。


 桃子はにこやかな笑顔を見せながら、俺や旬、ナナミの話に相槌を打つ。

 でも、本心から笑ってない。

 桃子の心の闇が、体中を覆っている黒い影の正体なのか?

 いや、まてよ。
この雁字搦めな影の正体は…………

 桃子の瞳から発する心底に秘めたもんを探ってみた。

 人のプライベートを覗いているみたいで、後ろめたい気持ちにもなる。
だがしかし、気になる事は知りたい性格がソレを阻止する。



 「イヤッ!!
ヤメて!!」

 桃子の上に男が馬乗りになって、暴力を受け出る姿が見えた。

 「うるせぇ!!
俺から逃れるなんて思うなよ!」

 男は遠慮なしに桃子に平手打ちをする。

 バシッ バシッ バシッっと、男の大きな掌が桃子の頬を遠慮なしに激しい音を立てて叩いる。



 うわぁ………
辞めろ!辞めろ!辞めてくれ!!
女相手に!

 桃子の危険信号をキャッチすればするほど切なくなった。

 今度はその男の手が桃子の首にかける。
 
 「うっ………ヤメ……ッ……あっ………あああぁ……」
 
 桃子は苦痛の悲鳴でさえ遮られるほど、手の力を緩めず、恐ろしい形相のまま男は言い放つ。

 「別れたいなんて、生意気な事をまた言ったら、今度は殺してやっかんな!!」





 『お前が死んじゃえよ!
このクズ男!
死ね!
くたばれ………』



 これは………
激しい怒りと恨みの念を飛ばしているのは桃子の方なんだ………