俺の体は痣と切り傷の跡が数え切れない程ある。

首は二箇所ずつしか痣がないからまだいいけど、足や腕には、痣と切り傷の跡が各々五箇所以上はある。背中や胸にも足や腕と同じくらい跡があって、服で隠れるところに限って、多めに傷がある。
すごく気持ち悪い。見てるだけで汚い身体だ。

「ほら、そういう顔すんじゃん。だから見せたくなかったんだよ」

ビックリした潤を見て、自嘲気味に言った。

「……空我、これって?」

脇腹にできている青痣が不自然に凹んでるのを見て、潤は首を傾げた。


「それは硬いので殴られてできたやつだな」

「硬いのって?」

「なんだっけ。……フライパンとか、シャワーの銀色のとことか、ドライヤーとかだったかな。そういうので何十回も殴られて凹んだ」

「何箇所くらい凹んでんだよ」

「……さぁ? でも腕と足と腹に少なくとも二箇所はあるから、十箇所くらいじゃねぇの」


投げやりに俺は言う。

「他人事みたいに言ってんじゃねぇよ!お前、自分のことぞんざいに扱いすぎなんだよ!なんでそんなになるまで耐えたんだよ!」

「……だってそれやられたの小中学生の時だぞ。怪我した時は学校休むの強要されたから、友達とかできてなかったし、誰も頼れなかったんだよ。母さんにはチクったら殺すとか言われてたし」

吐き捨てるように俺はいった。

「ごめん、守れなくて。本当にごめん」

俺の脇腹を触りながら、潤は言う。

「謝んなよ。潤は悪くねぇし。それに、謝られても困る」

「そっか。そうだよな。……他にはどんなこと言われて、何された?」

頭をかきながら潤は言う。

「……気になんの?」

首を傾げて俺は言う。

「あぁ、なんでも知りたい」

「はぁ……分かった。じゃあ、全部話すよ」

ため息をついて、俺は言った。