ーキーンコーンカーンコーンー




「起立、礼、着席」


6時間目の終わりのチャイムとともに、お決まりのセリフをいって今日の授業がすべて終わった。


「雨野」


「はい」


私の名前を呼ばれ、振り返ると、担任の古田先生が来い来いと手招きしていた。廊下の端に連れ出され何を言われるのかと思いきや…


「実はな、雨野に頼みたいことがあるんだ」


「頼みたいこと…ですか」


「ああ」


頼み。…うん、頼られてる。私今、必要とされてるってことだよね?


「いいですよ。なんですか?」


「実はな、明日転校生が来るんだ」


私はそれを聞いて一番に思ったのが「この時期に」だった。だって今は、高校2年の夏…7月だ。


「親の転勤が多い子らしくてな」


けど、それを聞いて納得した。


「それで、そいつの面倒を見てやって欲しくてな」


「面倒?」


「学校のこととか勉強のこととか…いろいろあるだろ?…学級委員である雨野に頼みたいんだが…」


「わかりました」


私はにっこり笑って答えた。そうしたら先生はホッとした様子で「ありがとな」と、言ったあとその場を去っていった。


私は思わずにやけてしまいそうな顔をキュッと引き締めながら軽くスキップしながら教室に戻った。


「空、ごきげんだね〜なんかあった?」


「ううん!なにもっ」


なぁんてねっ。…先生から頼み事されるなんて、私って本当信頼されてるよなぁ〜!…頼られるのは好き。だって、私がここに存在してる意味になるから。

なびく後ろ髪と、いい具合に切りそろえてある前髪がさらさらと私の肌に触れる。

こんな風になったのはいつからだろう…。