薄暗い空に夜明けを告げる太陽が顔出した頃、昨夜脱がされた衣類を一つ、また一つと拾い集めてシーツをまといベッドから起き上がる。

隣にあったはずの温もりは、いつものごとく空っぽだ。

共に朝を迎えた事など一度もないのだから、私にはあの男の考える事など何一つ分かる筈がない。

ただ、時よりふらりと現れては私に快感だけを与え、翌朝にはまるで初めからその場に居なかったかのように消えてしまう。

もはや彼がこの部屋にいた事を証明するものは、下半身に残る鈍く気怠い感覚と、洗面台の鏡に映る胸元に鮮やかに咲き誇るこの花弁だけ。

そっと指を滑らせて花弁に触れてみる。

愛されてなどいないのに、彼がここへ足を運び続ける限り更新されるであろうこの跡を、何故だか私は拒めずにいた。