映画の日から一週間が経った。
あれ以来、水野君とはなんの接点もない。いつも通りの毎日が過ぎていった。
「もーも、おはよう!」
朝、教室の自分の席に着くと皐月が振り返って挨拶してくれた。
皐月は今日は綺麗に巻いた茶色い髪を、ツインテールにしている。
ピンク色のカーディガンを着て、とても女の子らしくて可愛い皐月。
私はそんな皐月に笑顔を向ける。
「おはよう、皐月。あれ? そんなのしてたっけ?」
皐月の首筋にキラリと光るものを見つけた。
私は興味津々にまじまじとそれを見つめる。
「あ、気づいた? 実はね……彼氏からのプレゼントなんだぁ!」
「へえ、可愛いね」
「えへ、でしょ?」
皐月は指先でネックレスのトップを持ち上げ、私に見せてくれた。
小さな天使の羽の形をしていて、とても可愛い。
幸せそうな笑みを浮かべる皐月からは、彼氏のことが大好きだということが伝わってくる。
「いいなぁ、優しい彼氏がいて」
皐月を見てたら、彼氏がいることがとても羨ましく思える。
自分のことを好きでいてくれる人がいるっていいな。
幸せそう。
「桃もその気になったらすぐに彼氏ができるって。特に須藤君とか! クラスでも、すごくモテるらしいよ」
「えー、蓮とはほんとにそんなんじゃないって。それにしても、相変わらずモテるんだ」
中学の時もすごかったけど、高校に入ってからまだ少ししか経っていないのに。
「目立つしねー。みんな、カッコいい男子には目がないんだよ。須藤君みたいな爽やかで知的な王子様系男子は、女子ウケがいいって決まってるしね」
爽やかで知的な王子様系男子って……。
蓮の本性を知ってる身としては、かなり笑える。
皐月は蓮とはほとんど接点がないはずなのに、そんなことまで知ってるなんて。